016 このままなのか(1986)

中学を卒業した頃は、母も仕事を辞めていたので度々外泊していた。
病院に一週間いたら三泊四日、家に帰るみたいな。
好き嫌いが多く貧血がひどかったので病院にいる時は毎日何か好きな食べ物を母が持ってきてくれていた。
そんな生活を送っていると、俺病院にいる意味ないんじゃない?
大きな病気もしてないし、病気の進行も遅い。家にいても心配はないはずだ。
病院に入院したきっかけは、母も働かなくてはいけなくなった事と俺が学校に行かなくてはいけない事。
もう学校にも行ってないし、母も働いていない。
「俺、学校も行ってないし外泊も自由だし、お母さんも仕事してないしここにいる意味ある?退院してもいいんじゃない?」と聞いてみた。
なんか答えに困ってる様子。
それ以上は聞かなかった。10年離れて暮らしていたのだからなんかそれが普通の生活になっていたのだろう。
しかし入院生活10年の間に半数は亡くなって入れ替わっている。
入院して数日後に亡くなった人がいて自分たちの病気は寿命が短い事を知る。
怖い気持ちはなかったけどあまりにも死が身近に感じ嫌だった。
子供の時から自分以外はみんな元気。これが俺の理想。
学校で人はいつ亡くなるか分からない充実した生活をと教えられてきたけど病院生活は生活の流れに乗っかるので精一杯。
何をするにも手がかかるのでなかなか何かを始めるというのも難しい。
ずっとこのままなのだろうかと思っていた。

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